伊達政宗の美意識に触れる国宝・瑞巌寺で「永遠に変わらないもの」を考える(仙台旅行・完結編)
- キオラ!ロトルア
- 6月18日
- 読了時間: 6分
仙台・松島旅行も、いよいよこの日が最終日。
天気はあいにく今ひとつですが、雨が降っていないのだけは救いです。
最終日の旅程は、松島の有名な「瑞巌寺」へ立ち寄ってから仙台駅へ向かうルート。
でも、その前に。まずは旅の楽しみである「朝食」の時間を始めましょう――。
五感が満たされる、小松館の「しあわせ三段重」
小松館の朝食は、上品でありながらボリュームも満点。
食卓に運ばれてきたのは、大きな逆円錐形の器を広げていただく名物「朝のしあわせ三段重」です。

重箱を開けると、地元宮城の食材や名物が少しずつ上品にちりばめられていてます。
目にも華やかで、どれから箸をつけるか迷ってしまうほど。

ご飯は、宮城県産ひとめぼれの「白米」か、宿の名物である「アサリの炊き込みご飯」のどちらかを選ぶことができます。
私はアサリの炊き込みご飯をチョイス。
アサリの旨みがしっかりと染み込んだ優しい味付けで、おかわりも可能です。
どのお料理も本当に手が込んでいて、朝から大満足のひとときでした。
出会い橋を渡って食後の福浦島さんぽ
品数豊富なお料理を残さず平らげたら、すっかりお腹がパンパンに。
チェックアウトまで少し時間があったので、運動がてら近くを散策することにしました。
目指すは、旅館のすぐ近くに見える大きな赤い橋。

松島三大橋の一つ数えられ、別名「出会い橋」とも呼ばれる良縁のスポットなのだとか。
「出会い橋」という言葉に、ふと自分の人生を振り返ります。
20代の時にニュージーランドへ留学し、そこで夫と出会いました。
気づけば私ももう50代。
これまでの道のりには紆余曲折ありましたが、こうして今も一緒にいるということは、きっと悪い縁ではなかったのでしょう。
福浦橋を往復する30分ほどの静かな散歩は、食後にちょうど良い運動になりました。

旅館に戻り、チェックアウトを済ませてエントランス前で記念撮影。
お食事、温泉、おもてなし、どれをとっても期待通りで、満足度の高いお宿でした。
伊達政宗公の自信が息づく、国宝・瑞巌寺へ
松島を観光するなら外せない一押しスポット、それが国宝・瑞巌寺です。
一歩足を踏み入れて感じるのは、他とは明らかに違う空気感。
ここは、松島の美しい風景を愛した伊達政宗公が、持てる力のすべてと最高の美意識を注ぎ込んだ「奥州随一の桃山建築の傑作」です。
乱世を勝ち抜いた戦国武将たちの「富と権力、そして新しい時代を切り開くぞという自信」がそのまま形になった建築スタイル。
現代でいうなら、日本中がバブル経済に沸いた80年代後半から90年代初頭のような時代でしょうか。

ちなみに私は、そのバブルがはじけた後に社会に出た「就職氷河期世代」。
豪華絢爛な世界より、どちらかといえば簡素さや精神的な深みを求める「わびさび」の時代を生きてきた気がします。
そんな世代ギャップを政宗公に感じつつ、境内を進みます。
こちらは表玄関であり参道の入り口に立つ「総門」です。

伊達政宗が瑞巌寺を再興した当時(400年以上前)のものが今に形を残しているそうです。
ここから奥へ続くまっすぐな石畳の参道は、観光客を厳かな禅寺の世界へと静かに導いてくれます。
参道を歩いていくと、ふと目に飛び込んできたのが「鰻塚」と大きく書かれた石碑でした。

かつて松島湾は、天然ウナギが非常によく獲れる名産地でした。
今でも「鰻塚供養祭」が行われ、松島湾へウナギを放流する行事が続けられているそうです。
日本らしい生き物供養の文化に心が温まります。
参道を抜け、本堂の受付に到着。
ここから先は有料エリアとなります。
本堂や庫裏、宝物館の建物内部はすべて「写真撮影NG」のため画像でお伝えできません。
内部には豪華な襖絵など、貴重な国宝や重要文化財が当時の姿のまま展示されています。
戦国時代へタイムスリップしたような感覚に浸っていると、壁に展示されていた地元の小学生たちの書道作品が目に留まり、現代の日常へと引き戻してくれました。
建物の外へ出ると、美しく手入れされた前庭が広がっています。ここからは撮影OK。

この一面に広がる白砂(砂紋)は、夜になると月の光を反射させ、本堂の室内を優しく照らし出す役割も果たしていたそうです。
月を愛したと言われる政宗公ならではの、実に粋な演出ですね。
その庭に佇む背の低い木々は、宮城県の天然記念物「臥龍梅(がりゅうばい)」。
伊達政宗が自ら手植えしたと伝わる樹齢400年超の梅の古木で、4月ごろに見事な紅白の花を咲かせるそうです。
多くの樹木の寿命は人間より遥かに長い…….。
私も庭に小さなミカンの木を植えましたが、将来、たくさんの実を付けて未来の人たちを喜ばしてくれるのでしょうね。

そして、もう一つ足を止めたのが、中庭にある見事な石庭(枯山水庭園)。

一面に広がる白砂は「松島湾の穏やかな海(さざ波)」を、そして苔に縁取られた緑や黒い岩は「松島に浮かぶ島々」を見立てて造られています。
松島を表現するのなら、いっそ石ではなく本物の水を使った方が分かりやすいのでは?
そんな素朴な疑問が浮かびますが、ここには「禅の思想」が隠されています。
移り変わる世の中で、形を変えない「決して変わらない本質(真理)」を大切にするため、永遠性の象徴として硬く朽ちない「石」があえて選ばれたのだそうです。
……不変の本質。
「永遠に変わらないものなどあるだろうか?」
しばし庭を眺めながら考えてみました。
思い浮かんだのは、母の愛情。
私を産んでから半世紀以上も経ちますが、変わらず私に与えてくれます。
そう思うと母が仏様のように見えてきますが、こんなことを言ったら「まだ仏になるには早い!」と怒られそうです。
最後に宝物館を観覧し、元の道を戻ります。
その参道の途中で、ふと「津波到達地点」と書かれた立札が目に留まりました。

海からは数百メートルは離れているはずのこの場所。
松島湾に浮かぶ多くの島々が天然の防波堤になったと言われていますが、それでもなお、ここまで襲ってきた津波。
その威力を改めて実感させられました。
旅の締めくくりは、母の「人生初マック」
松島を離れ、一路、仙台駅へ。 駅に到着したのは午前11時ごろでした。
旅館の朝食が品数豊富だったため、お腹はまだ空きません。
この後、母は仙台に住む妹(私の叔母)と駅で待ち合わせをしており、合流するまでの時間をどこかで潰すことに。
そこでふと目に入ったのが、お馴染みのマクドナルドでした。
実は、母はこれまでの人生で一度もマックに入ったことがないとのこと。
「それなら人生初のマック体験をしてもらおう」と、入店。

この旅行では、牡蠣をはじめ様々な宮城グルメを堪能してきました。
そんな旅の最後の締めくくりが、どこでも食べられるマクドナルドの「ホットアップルパイ」でした。
私の母は本当に好き嫌いがなく、ニュージーランドに遊びに来た時も、ケバブやベトナム料理といった初めての味を「美味しい、美味しい」と食べる人です。
一緒に旅行をしていても、食べ物で困ることがほとんどありません。
「次回の旅行では、母に何を体験させてあげようか……」
サくっとしたアップルパイを頬張る母を見ながら、次なる計画に思いを馳せて宮城の旅は終わりを迎えました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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