キウイセーバーはNZ国民(永住権保持者含む)のために2007年から開始された個人向け積立年金制度です。かつてNZでは他の先進国と比べて貯蓄率が最低レベルだったことが問題でした。この課題を解決し退職後の生活や自宅購入の補助を目的に労働党政権(当時)によって設立された制度です。
制度設立の目的
積立期間に政府(又は勤務先)から補助を受けられます。政府は積立額に応じ年$521を上限に追加で’積立てしてくれます。満額受給をするためには加入期間が1年以上(会計年度:7/1〜6/30)ある事と積立額が年$1043以上ある事が条件になります。尚、政府補助を受取るには18〜65歳迄である必要があります。
政府からの追加積立
キウイセーバーのプロバイダーは数が多く選ぶ際に迷います。選択基準としては過去の運用実績・運用コスト(手数料の安さ)などになるかと思います。政府が出資している独立機関の金融情報サイトSortedのKiwisaver Fund Finderを使うと自分に合ったプロバイダーとファンドを選ぶ際の参考になります。
プロバイダー選び
65歳になるとキウイセーバーの積立金は①一括引き出し②定期的な引き出し③必要に応じて引き出しから選択できるようになります。口座をそのまま残して運用を継続することはできますが政府からの追加積立は利用できません。また企業も従業員に追加積立をする義務はなくなります。
65歳後の資金引出し
NZ国民または永住者であれば誰でもキウイセーバーに加入できます。年齢制限は特にありませんが未成年(18歳未満)の場合は雇用主を通じての加入はできません。また16歳から17歳の場合は申請書に共同署名する法定後見人が少なくとも1名、15歳以下の場合は法定後見人全員の同意が必要です。
年齢制限がない加入条件
会社員の場合、税引前給与の3%(任意で4%・6%・8%・10%からも選択可)が天引きで積立てられます。また会社側は総給与または賃金の3% を従業員のキウイセーバーに追加補助することが法的に義務付けられています。自分の積立分以外に政府と雇用主からの補積積立があるため資金が貯まりやすくなります。
会社からの追加積立
18歳以上で新しい仕事を始める際に初めて加入する場合は自動的に政府が選んだデフォルトプロバイダー(BNZ・Booster・Westpac・Kiwi Wealth・Simplicity・SuperLife)のいずれかのファンドに登録されます(一部例外あり)。ファンドは手数料が低く投資リスクのバランスがとれたものが選ばれています。
デフォルトプロバイダー
積立資金を引出して自宅の購入に使う場合は条件が設けられています。
・初めての自宅または自宅を建てるための土地を購入する場合
・NZの家または土地を購入する場合
・キウイセーバーの加入期間が3年以上あること
・これまで家や土地を所有したことがないこと(例外あり)
自宅購入資金の引出し条件
キウイセーバーの加入者数は330万人(2023年6月時点)で全人口のおよそ6割にのぼります。10年前との比較ではほぼ全ての世代で加入者数が上昇し計115万人も増えています。加入者が特に多いのは現役世代(25〜64歳)ですが未成年(17歳以下)や退職者世代(65歳以上)もそれぞれ20万人以上が加入しています。
加入者数の推移
積立金は銀行預金のように貯蓄されるのではなく民間の金融業社(プロバイダー)に預けられ株・不動産・債券等に分散されたファンドで運用されます。ファンドは大まかに5つのタイプ(防御型・保守型、バランス型・成長型・積極型)に分けられ自分のリスク許容度や運用期間等を考慮した上で選択します。
ファンドで運用
キウイセーバーで積み立てた資金は65歳になると引き出すことができます。例外として①初めて自宅を購入するための資金にする②海外に移住する③経済的に困窮しているなどの場合はプロバイダーに必要書類を揃えて申請し、それが認められれば65歳になる前に積立金を引き出すことが可能です。