NZと日本の収入格差が開く理由
日経平均がバブル以来の高値になったというニュースがありました。
(NHK / 2023年5月19日)
バブルとは今から30年以上も前の好景気のことです。
景気の頂点は1990年で、その時の日本の平均年収は428万円。
これは世界の中でもトップ10に入る高水準で、当時のNZの平均年収(331万円)と比べるとさらに際立ちます。
それから時が経過し、両国の収入差はどう変わったのでしょうか。
=2022年の平均年収=
日本 443万円 (+15万円)
NZ 527万円 (+196万円)
日本はほぼ変わっておらず”微増”といった感じですが、ニュージーランドは1.6倍にも増えています。
こうした収入の差はどうして生まれたのでしょうか。
よく言われるのが労働生産性についてです。
労働生産性とは、1人の労働者がどれくらいの利益を生み出したのかということ、になります。
日本は”働かないおじさん”が問題になるなど、労働生産性の向上が進まない国のように思われがちです。
しかし実は日本とニュージーランドの労働生産性に大差はありません。
明確な違いがあるとすれば、正規・非正規という雇用形態が日本にあり、NZにはないことです。
日本では正社員とそれ以外の非正規社員との賃金格差が大きいのが実情です。
<正社員の平均年収>
男性 560万円
女性 364万円
<非正規社員の平均年収>
男性 226万円
女性 152万円
男女とも非正規社員の平均年収は正社員の半分以下です。
バブルが崩壊して以降、非正規雇用の割合は2020年までに倍増(17%→35%)しています。
(総務省 労働力調査)
30年も年収の平均値が上がらなかったのは、右肩上がりに増える非正規雇用の割合増加も理由の1つと言えます。
NZの雇用形態にも期限を設けた契約などもありますが、いずれの契約でも正規雇用となります。
ですので、求められる人材となるには職能(経験含む)があるかが重要です。
例えば、日本の美容師さんはニュージーランドではスキルが高いと評価されることがあります。
そのため多少言葉が拙かったとしても現地の美容院に就職や転職ができたりします。
収入を上げたければスキルを磨いた上で経営者と待遇交渉すれば良く、雇用形態は重要ではありません。
また、NZの平均収入が伸びていったのには、最低賃金の底上げやインフレなども要因としてあるでしょう。
NZの最低時給はこの20年余りで3倍に上がっています。
<最低時給>
2000年 $7.55(649円)
2023年 $22.70(1,952円)
そしてこの間、NZのインフレ率が年平均2〜3%あったのに対し、日本はデフレに苦しみ、インフレ率がマイナスに陥る時期も長く続きました。
コロナの後遺症として日本でもインフレ率が上がっていますが、それが将来にわたって続くかどうかはわかりません。
いずれにしても日本とNZでは平均収入で埋め難い差ができており、その差はこれからも開いていく可能性があるということです。
オーストラリアでワーキングホリデーをして、2年で数百万円の貯金ができたというニュースがありました。
頑張ったら、その分、しっかり稼げる。
当たり前のはずなのに日本だと難しい。
バブル時代や期待以上の収入を得られることを知らない世代が実感している日本と世界の差。
それがニュースにまでなっている理由なのかもしれません。
ワーキングホリデーは出稼ぎのための制度ではもちろんありませんし、日本にも稼げる仕事はあるでしょう。
ただ、海外で働いた経験があると、帰国後に外資企業へアプローチする際に役立つことがあるかもしれません。
また、自分のスキルをより高く評価してくれる企業を探すようになるなど、将来の仕事を選ぶ基準に変化をもたらすように思います。
労働力不足などの事情もあり、ニュージーランドでもワーキングホリデーの受け入れに積極的です。
オーストラリアが人気のようですが、お隣りのニュージーランドもワーホリ候補に入れていただければ嬉しい限りです。
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