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NZと共同開発で進む日本の地熱発電 - パート2

更新日:2023年7月14日


山葵沢地熱発電所(JOGMEC地熱資源情報より抜粋)



地熱開発で最も難しいことの1つは、十分な蒸気や熱水を確保できる地熱貯留層の割れ目を探し当てることです。


そのために1ヶ所あたり3億〜5億円もかかる井戸をいくつも掘るのですが、もし見つけられなければ多大な資金と時間が無駄になります。


収益性の見通しが立ちにくいことから開発を断念する事業者もあり、仮に開発が進んだとしても稼働までに10年を要するとも言われます。


この難題を解決できるパートナーとして選ばれたのがNZ国営の地熱分析会社、GNSサイエンス(以下GNS社)です。


GNS社は見えない地下の調査やデータ解析を通じて、高温の熱水がある位置を正確に特定することを得意としています。


掘削回数を減らすことでコストを抑えたり、温泉を含め周辺環境への負荷を最小限に抑えることが可能になる画期的な解析サービスです。


日本の地熱資源の宝庫と言われる東北地方。秋田県湯沢市は「地熱のまち」として知られています。


湯沢市では上の岱地熱発電所に続き、より大規模な山葵沢地熱発電所が2019年に稼働を開始しました。


山葵沢発電所の年間発電量は一般家庭約9万世帯分の消費電力に相当します。


つまり、この発電所だけで湯沢市(1.5万世帯)の電力消費量を軽くまかなうことが可能です。


湯沢市ではさらに2ヶ所で資源調査が進められていますが、GNS社は第三者評価機関として日本の地熱開発事業者の後押しする形で開発に協力しています。


実は日本が世界トップクラスなのは地熱資源だけではありません。


地熱発電用のタービンは日本企業3社(東芝・富士電機・三菱日立パワーシステムズ)で世界シェアの約7割を占めています。


また、地熱資源は場所によって性質が異なるため高度な技術と経験が必要で、発電所ごとに最適な設計が求められるのですが、ここでも日本の技術が活かされています。


タービンのような重要部品だけではなく設計から建設までパッケージで輸出され、世界中で利用されているのです。


日本の地熱開発で唯一足りないのが地熱資源に到達するための地下解析技術で、その部分をサポートできるのが地熱開発に成功しているNZのGNS社なのです。


GNS社は湯沢市以外にも全国各地にある地熱資源開発に貢献することを考えているとのこと。


化石燃料をエネルギー源とする火力発電に全体の7割を依存する日本。


原油や石炭、天然ガスの価格が値上がれば電気代の高騰は避けられませんし、温室効果ガスの排出による環境負荷も悩みの種です。


日本とNZが力を合わせて未来のクリーンエネルギーを作ることに大きな期待がふくらみます。


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