NZと共同開発で進む日本の地熱発電 - パート1
更新日:2023年7月13日

クリーンエネルギーの開発に力を注ぐニュージーランド。
再生可能エネルギーからの発電は全体の84%を占め、これを2030年までに100%にする目標を掲げています。
この目標は達成可能と考えられており、NZはエネルギーの安全保障において世界で二番目にリスクが低い国と評価されています。
再生可能エネルギーのうち、最も高い発電割合を占めるのは全体の6割を占める水力です。
しかし、水力発電所(ダム)の建設は周辺環境に与える影響が大きいのが難点です。
また、NZの貯水能力は高いとは言えないため、雨が少ない時期は発電に及ぼす影響も大きくなります。
水力や風力、太陽光などの自然エネルギーは天候に左右されがちなところが弱点です。
一方、そのデメリットを補う自然エネルギー資源がNZには存在します。
『地熱』です。
地熱は気象条件に関係なく、安定してエネルギーを生み出すことができます。
温室効果ガスはある程度排出しますが、その量は化石燃料の中で最もクリーンな天然ガス発電よりも少なく、環境負荷が低いのも特徴です。
NZの地熱発電は10年前の2倍にまで成長し、発電量は水力に次いで二番目に多い17%を占めています。
現在、ニュージーランドにある地熱発電所は16ヶ所。
その内10ヶ所はロトルアから車で1時間ほどのタウポ周辺に集中しています。
<タウポ周辺の地熱発電所>
ワイラケイ(1958/2005)
ポイヒピ(1997)
テフカ(2010)
テミヒ(2014)
ロトカワ(1998)
ナアワプルア(2010)
モカイ(2000/2005/2007)
ナタマリキ(2013)
オハアキ(ー)
※( )内の数字は建設年
NZの地熱発電の歴史は古く、ワイラケイ発電所はイタリアのラルデレロ発電所に次いで世界で二番目に稼働した地熱発電所として知られています。
地熱資源は環太平洋火山帯上の国に多く存在し、ニュージーランドもその中に含まれています。
<地熱資源量トップ10>
1位 アメリカ*
2位 インドネシア*
3位 日本*
4位 ケニア
5位 フィリピン*
6位 メキシコ*
7位 アイルランド
8位 ニュージーランド*
9位 イタリア
10位 ペルー*
*印は環太平洋火山帯に属する国
このランキングで気になるのは日本が3位に入っていることです。
日本の発電量に占める地熱エネルギーの割合はわずか0.2%。
豊富な資源を活用できていないのにはいくつかの理由があり、その1つが温泉が枯れてしまうことを心配する温泉地からの反対です。
地熱発電では地下深くまで掘削し、高温(650°〜1000°)の地熱資源を取り出します。
その後、地熱資源は蒸気と熱水に分けられ、蒸気は発電に利用し、熱水は地下に戻される仕組みです。
そのため地熱貯留層の水が枯れてしまうことなく、サステナブルな資源と言われます。
掘削深は温泉(1000mほどが多い)と地熱発電(2000m以上)ではかなり異なることも、温泉に影響が出るリスクが低いとされる理由の1つです。
説明を尽くし、万一温泉が出なくなった場合の補償を約束するなどして地元の理解を得た地域では実際に地熱開発が進んでいます。
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