NZの先住民族マオリと日本人が持つ共通の価値観とは?
ニュージーランド観光でご覧になることが多いのが「ハカ」と呼ばれる先住民族マオリの舞踊です。
ラグビーのNZ代表チーム、オールブラックスが試合前にハカを披露することで有名です。
大きなかけ声を発する「リード役」は、偉大な選手だったサモア系移民のタナ・ウマガ選手が行った例外もありますが、原則的には、マオリの血を引く人物が選ばれます。
マオリ語で「カマテ」と呼ばれるオールブラックスのハカ。
今から100年以上前の1905年にイギリスで行われた国際試合で初めて披露されました。
本来ハカは、マオリの戦士が相手を威嚇するための踊りではあるのですが、オールブラックスのハカには対戦を望んでくれたチームに対し敬意を表する意が込められているそうです。
リード役のかけ声はマオリ語なので、意味がよくわかりません。
「カマテっ!」という部分が日本人には「頑張って!」と聞こえるので、私は毎回ハカを観ると、なぜかヤル気が出てしまいます。
実際はどういう意味かというと以下のような内容になります。
私は死ぬ! 私は死ぬ!
私は生きる! 私は生きる!
(以上を2回繰り返し)
見よ、この勇気ある者を。
ここにいる毛深い男が再び太陽を輝かせる!
一歩はしごを上へ! さらに一歩上へ!
一歩はしごを上へ! そして最後の一歩!
そして外へ一歩!
太陽の光の中へ!
(参考:Wikipedia)
生死をかけた戦いに身を置く勇者の叫び、です。
ハカだけをみているとマオリは「戦闘を好む民族」というイメージを持ってしまいますが、私たち日本人と共通の価値観をもっていると思わせる「ある言葉」があります。
その言葉は「マナ」。
「人の行い」についての規範となる言葉で、不徳や罪を犯すとマナを失い、善行や感謝されることを行うとマナを取り戻すことができるとマオリの人々は信じています。
西洋化されていく社会の中で、マオリ族は、カネやモノのためでなく、マナを高めるために生きてきたといいます。
マナに当てはまる日本語としては「徳」が適当なのでないかと思います。
忘れかけている日本の徳の精神をマオリ族の言葉で気付かさせてもらいました。
最近の研究でマオリ族と台湾人のDNAは極めて類似性が高いことが証明されています。
さらに、マオリ語と日本語には共通点が多く、発音方法は同じです。
日本の先住民であった縄文人は、大昔に黒潮にのって日本にやってきたポリネシア系の(マオリ族と同じ)人種だという説もあります。
マオリ族と日本人を含めアジア人との繋がりは私たちの想像以上に深いのかもしれません。
ハカはスポーツの試合だけではなく、今では結婚式などセレモニーの場でも披露されています。
自らの民族の誇りと精神を忘れないよう、人生の節目などに行なっているのかもしれませんね。
ロトルアは、ニュージーランドで最も多くのマオリ族が住む街。
英語とマオリ語のバイリンガル都市にすることが宣言されているなど、ニュージーランドで最もマオリ文化を感じられる街の1つです。
ニュージーランド旅行ではぜひロトルアへお越しいただき、日本人との共通点をもつマオリ族の文化を肌で感じてみてください。